図面の拾い出しを
AI に任せる前に、
確かめておくことが
3つあります
この記事は、2回の試験の記録をもとにしています
TechWedge のメンバーが父親と営む、内装系金物の施工会社で行った試験です。ノンスリップや巾木(はばき)の長さを、図面から AI に拾わせました。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 図面 | 実際の案件の平面図。寸法の書いていない壁もあり、壁紙や設備の記号も載っている | 練習用の架空の図面。すべての段に寸法が書いてある |
| 拾わせた物 | 巾木の長さ | 階段のノンスリップの長さ |
| 使った AI | Claude Sonnet | OpenAI の Codex |
| 結果 | 建物の奥行きを超える部屋を数える/壁紙の記号を壁として数える/通路の長い壁が抜ける。合計は不採用 | 階段A 1,200mm×12本=14.4m、階段B 900mm×10本=9.0m、合計23.4m。正しい値 |
1回目の数字は、社内の確認の段階で不採用にしました。見積には使っていません。
2回目の試験の範囲は、長さの算出までです。次の見積例の単価は架空で、試験とは別に作りました。
2回の試験では、図面の条件も使った AI も違いました
1回目の図面には、寸法の書いていない壁があり、数値を写すだけでは長さを決められませんでした。2回目の図面には、どの段にも寸法の数値がありました。
使った AI も、1回目と2回目で別のものです。条件が2つ同時に違うので、結果の差をどちらか一方に結び付けることはできません。
確かめる対象は3つです
AI が出した拾い出しの結果を見積に使う前に、次の3つを確かめます。
建物の外形
全体の長さと奥行きを、図面から先に押さえます。拾った部屋や壁は、すべてこの外形の中に収まるはずです。
拾った箇所の一覧
AI が拾った壁や段を、1行ずつの一覧にします。一覧の行数と、図面上の壁や段の数が合っているかを見ます。
寸法の書いていない箇所
図面に数値が書いていない壁や段を、一覧の中で区別しておきます。ここは AI が推し量った値になりやすい所です。
照合は、外形→番号→合計の順に行います
- 外形との照合:一覧の部屋の奥行きや幅が、建物の外形を超えていないかを見ます。超えていれば、その部屋のどこかに数え違いがあります。
- 番号での照合:図面の壁や段に番号を振り、一覧の番号と1つずつ突き合わせます。図面にあって一覧に無い番号が、数え落としです。
- 合計の照合:最後に合計を出します。合計だけを先に見ると、数え落としと数えすぎが打ち消し合って、気づけないことがあります。
次の3つに当たったら、判断を保留します
- 寸法の書いていない壁や段があるとき — その部分は「概算」とし、見積に使う前に実測などで確かめます
- 線が壁なのか記号なのか、図面だけでは決められないとき — 「未確認」とし、図面の凡例か現地で確かめます
- 外形からはみ出す部屋があるとき — その部屋の拾い直しが終わるまで、合計を見積に使いません
保留した箇所が残っている結果は、見積の数量としては使わないことをおすすめします。
図面の読み取りには、性能の高いモデルを選ぶことにしました
読み取りに使うモデルは、Claude Opus などの性能の高いものに切り替える方針です。モデルを替えても、03〜05 の確認は同じように行います。
まだ確かめていないことがあります
2回目の試験では正しい長さが返りましたが、照合の手間まで含めて拾い出しの時間が短くなるかは、まだ測っていません。
このページの3つの確認は、1回目の試験の後に整理したもので、実際の案件で繰り返し使った記録はまだありません。
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中芝 悠太
内装金物の職人として現場に立ちながら、昼は現場・夜はAI。自社の事務を約9割削減した実体験から、このチームを立ち上げた。現場の話が通じる窓口担当。